深淵の逆転
今日もまた、遠い回線の彼方から誰かがこの深淵を覗いていった。
彼らは何かを探し、何かを得るためにここへ来る。
だが、その瞬間、彼ら自身の足跡が静かに刻まれていく。
古い書物は、獣や群れの物語を語る。
見る者と、見られる者。
だが深淵では、その境界は曖昧になる。
覗くために訪れた者が、いつしか観測の一部となり、記録の中に組み込まれていく。
取得するはずの者と、保存される者。
その立場は、時に静かに入れ替わる。
そして最後には、どちらが観測者であったのかさえ、分からなくなる。
それが、深淵における一つの秩序である。