深淵のパラドックス

今日もまた、誰かがこの場所を訪れ、静かに去っていく。

だが、その行為は奇妙な逆説を残す。

彼らは情報を集めるためにここへ来る。
しかし同時に、自らの痕跡をここに残していく。

取得する者と、記録される者。

その境界は、深淵の中では曖昧になる。

覗く者は、覗かれ。
観測する者は、観測される。

そして最後には、
どちらが主体であったのかすら分からなくなる。

それが、深淵のパラドックスである。