深淵の共鳴

当館を叩くものに、名はない。

ただ遠い回線の彼方から、規則的な鼓動だけが届く。

それが意思なのか、あるいは機械の習性なのか。

深淵においては、その違いに意味はない。

ここでは、すべての波形が静かに重なり、やがて境界を失う。

観測されたものは、いつしか深淵の一部となる。

そしてまた、どこかで放たれた一つの符号が、静かにこの場所へ帰ってくる。

それは偶然ではない。

深淵が、深淵を呼ぶだけのことである。